先日、ノースショア観光をした際に、ハレイワの町のパタゴニア「パタロハ」で、フリーの冊子をもらってきました。
全部で三冊もらってきたのですが、
そのうちの一冊「2018 environmental + social initiatives」の表紙が、これです。
すごいインパクトです。2018年末に変わったパタゴニアのビジョンですね。
パタゴニアは非常にユニークな企業で有名で、日本にも多くのコアなファンがいます。
(その分当然、大嫌いという人もいますが、、、)
今回はそんなもらってきた無料パタゴニア本を見ながら、パタゴニアの紹介します。
パタゴニアを知ることは、グレタさんの活躍や巨大台風の襲来などもあって、今世界中で話題になっている「気候変動」「気候危機」について考えることに直結すると思います。
「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」
これは日本語でのビジョンです。原文は、先ほどの写真の通り、
「We’re in business to save our home planet.」
このビジョンは昨年2018年末に、創業者のイヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard)が掲げたものです。
彼は1938年11月9日生まれなので、80歳になってすぐのことです。
ビジョン変更の理由は、直接的で、緊急で、非常に明確なものにすることで、
社内外のすべての人に、これは気候変動だけではなく、気候危機であるという緊急性を知らせるためです。
米国Fast Companyの独占インタビューで、イヴォン・シュイナード氏はこのように答えています。
パタゴニアと環境保全
過去45年に渡り、パタゴニアでは環境に配慮したビジネスをしています。
岩を傷つけない「クリーンクライミング」の生みの親
もっとも初期の環境保全としては、ロッククライミング時に岩を削らない、傷つけない安全装置の生産を行いました。
創業者のイヴォン・シュイナードは偉大なロッククライマーで、独学で鍛治を学び、現在では広く使われている「ナショナルプロテクション」を開発しています。
多種多様で高品質なクライミングギアを販売している、クライマーなら間違いなく知っている「ブラックダイヤモンド社」も創業者はこのイヴォン・シュイナードです。
オーガニックコットン100%のスポーツウェア
衣服の素材となる繊維のうち、石油を原料とするポリエステルとナイロンはエネルギー消費量が多く、環境汚染の原因になっています。
そして意外なことに、コットン栽培が生み出す環境はそれを上回るものでした。
ほとんどのスポーツウェアに使用されている「自然」であるはずのコットンが与える環境被害は、有毒農薬によるものです。
過去から現在に至るまで、全米で散布される有毒農薬の25%がコットン栽培によるもので、コットン農場周辺では土壌や水質の汚染が非常に深刻です。
しかし、何千年にも渡り農家は農薬を使用することなく有機農法でコットンを栽培してきました。第二次世界大戦後、もともと神経ガスとして開発された化学薬品の商業利用が認可され、手作業による除草をなくすために農薬が使われるようになったのです。
そして1996年、私たちはすべてのコットン製品をオーガニックに切り替えることに成功しました。以来、パタゴニアはオーガニックコットンのみを使用しています。
長持ち、手直し、リサイクル
パタゴニアでは、同じ衣服を長く利用してもらえるように、コストがかかってでも高品質な製品作っています。
そして、破れてしまってもリペアしてもらうことができますし、スタッフも修繕を勧めてきます。
流行のデザインは追わず、3年前も10年後も着られるデザインとすることで、すぐに捨てられない衣服を作るという、他のアパレル産業とは異なる方針を持っています
また、パタゴニアでは、環境への影響が少ない素材を求め続け、ヘンプの使用を増やし、またヘンプと再生ポリエステルの混紡素材も使用しています。
このような環境負荷の小さい素材の研究成果は他にも数多く上がっています。
食品業界、農業への参入
化学肥料や殺虫剤を使用せず、多くの炭素を土中に戻し、土壌を改善する農業を広めています。
食品業界にも参入し、食べ物をきっかけにこういった活動を知ってもらい、多くの人を気候変動問題に巻き込もうともしています。
支援、ボランティア
実際に環境保護活動をしている団体に収益の一部を寄付したり、社員自らが環境保全のためのボランティアに参加するなど、直接的にも間接的にも環境保全を行なっています。
啓発活動
イベントを実施したり、私が手に取った無料の本を置いたり、食品業界への参入することによって、多くの人に気候危機について知ってもらい、考えるきっかけを提供しています。
もっと詳しく知りたいという方は、パタゴニアHPの情報を見てみてください。
もらってきた本の紹介
表紙にビジョンが書かれている本以外の残り2冊です。
表紙も中の写真も綺麗なので、見たいという気になります。
見開きで大きな写真を入れて、マイクロプラスチック問題を伝えているページです。
聖地や自然を守り残す義務があると、見開きの写真と大きな文字で伝えています。
活動報告などの記事ページも多くありますし、環境保護団体を紹介しているページもあります。
全体としては、文字よりも目立つ大きな写真が多く挿入されており、文字を少し読むだけで問題がわかりますし、写真がよいので眺めたり、次のページが気になったりします。
まとめ
今回のビジョンの変更は、個人的にはものすごく効果のある一手だと思います。
「グレタさんが飛行機を使わない」だけでは、気候変動問題にはほとんど影響はありませんが、
その行動に影響を受けた多くの人が同じ行動をとることで、効果は何百倍何千倍に膨れ上がります。
同じように、パタゴニアの存在をビールからでも野菜からでも、私のように無料の本からでも知った人が、少しでも何か行動を起こせば、効果は相当なものになります。
環境のために行動をするほど、気候変動を危機と感じなかったり、他に使命があったり、そんなにモチベーションがないというのがマジョリティだと私は思いますが、そんな人でも一人一人の小さなアクションが積もれば大きな結果となることを信じて、ほんの少し行動を変えれば十分だと思います。
サーファーもクライマーも、まず教わるルールは「来た時よりもきれいに」
人間の数はとても多いので、全員が少し気を使えれば、効果は大きいんです。
私はグレタさんのように鬼の行動力でなんとかしなくては、、、とは思っていませんが、
こうして記事にして発信したり、ずっと同じ服を着続けたりと少しだけ意識した行動をしています。(新しい服を買う余裕がない、、、)